独身パワー

いつものようにカレーを食べようと梅田の某カレー屋さんに行って椅子に座る。座る位置を微妙に調節しようと己の股間付近に目をやると・・・。



今日は11時くらいのモノレールに乗って、千里中央で乗り換えて地下鉄で梅田まで来たっけ・・・。途中全部座ってたよなぁ・・・。



うーん、後悔しても仕方ない。
幸いにして、立っていたらバレない程度である。決して軽症でもないが、致命傷ではない。


しかし、股間が気になって仕方がない。知らぬが仏とは良く言ったものである。いつも以上にハイペースでカレーを平らげようとするものの胃の調子が芳しくないため、むしろペースダウン。
ペースダウンしつつも、今後の対策を考える。


どうせ立って仕事するんだし、しゃがむときは股開かなかったらバレはしない。けど、バレたらどうしよう。


「よし、買おう。」



俺はカレーを食べ終わると、すぐに店にもどってディ○モールのパンフレットを手に取った。
「男物、男物・・・メンズ、メンズ、ハッケーン!!」


数少ないメンズを扱ってる洋服屋に直行。ボロボロの運動靴で直行。上下GAPで直行。普段なら躊躇するところだが、そんなこと構ってられない。緊急事態なのだ。


「ちょっぴり高そうだが諭吉1人で十分だろう。きっと安いのも置いてるさ。」


とりあえず、店に入ってみる。


「・・・・。」
「普通、もっとズボンばっかりズズーンといっぱい置いてない?」


どうも、頭の中にはユニクロとGAPしかないので、トレンディードラマに出てきそうな洒落た部屋の中の如き店内に戸惑う。


もう後が無い俺はさっさと1人しかいない店員を捕まえる。こういう店での要領がわかってない俺みたいな人間はこうするしか手が無い。


「ズボンってこれだけ?」
普通、パンツって言うんだろうけど、そんな使い慣れてない言葉使ったら大切な何かを失ってしまいそうな・・・くだらない意地が俺にパンツと言わせない。


一応、売れ筋はこの辺です、ということだったんだが、もっとズズーンと一杯あると思っていたんだが、品揃えが全然ない・・・。


「とりあえず、こんなやつ。」
という訳で、緊急事態なズボンを見せる。


「チノパンですね。じゃぁこんなのはどうでしょう?」
ってなモンで、見せられた訳だが、畳まれた物を見てもさっぱりわからん。まぁその場凌ぎだしどうでもよい。問題は値段だが・・・、


「1.5諭吉。」


男29歳、独身。いつまでもユニクロダイエー、GAPじゃいかんよなぁ・・・。と、現実を直視するのにしばらく時間がかかる。とりあえず、ずっと仕事で履くんだし、丈夫そうだから良いか・・・。

いくつか試着してみて「これで良いです。」と・・・。


まぁ喜ばしいことは、サイズがMとLしかなかったんだが、Lが無事履けたことである。



ダイエットしてて良かった。


で、買う事が決定して店員曰く、

「カバンはどうですか?」と・・・。



どこもやることは一緒か(笑)。

しかし、1.5諭吉払った俺にさらにカバンを買えと・・・、多分、もっと諭吉が必要になるんだろうなぁと・・・。

俺が普段販売でやってることなんて、額だけみたらかわいいもんだなぁと、ちょっとした社会勉強になった。

見方を変えると、諭吉さえいっぱい存在していたら、こういうお店にいったらトータルでコーディネートしてくれるってことだよなぁ。センスが無くてもそれなりに店員が選んでくれそうだし。

もう俺に縁は無さそうだが、勇気を出して行ってみて良かったと思う。


もし、股間部分に10cmほどの亀裂が入っていなかったら、今後の人生においても入ることはなかったであろうオシャレなヒト向けのお店に・・・。